起業家にとって最も大事な能力は何か?
「営業力」は間違いなく起業家にとって最も大事な能力の一つであることは毎違いないでしょう。
今回は、いわゆる心理学で言うところのフレーミングとは何かを知ると共に、実際の営業現場でどうやって使っていくかを紹介していきます。
この原稿は、新幹線の中で書いていますが、
A.「指定席はあと15席空いている」
B.「指定席は94%が埋まっている」
実は、AもBも同じ新幹線なのですが、どの側面から見るかによって受ける印象が変わってきます。
見る視点(枠組み)によって印象が異なることをフレーミング効果と呼びます。
例えば、
A.「タバコを吸う人は吸わない人より3倍ガンで死にやすい」
B.「タバコを吸う人は吸わない人より6%ガンで死ぬ確率が増える」
や
A.「この手術は8割成功する」
B.「この手術は2割失敗する」
など、それぞれ同じ事象としても受ける印象が大きく変わることが分かると思います。
フレーミング効果は、チラシやCMなど広告業界で多く使われています。
知らないうちにフレーミングされている
私達は、知らないうちにいたるところでフレーミングされています。
例えば、
ニュースで「年金が危ない」と繰り返し報道されています。多くの人は自分の年金の受給予定額がいくらで、何がどう危ないのか分かっていません。しかし、テレビに出ている”年金の専門家”が「年金は危ない」と言っているのを聞きます。すると、「年金は危ない」という思考のフレーム(枠)がかかってしまいます。
そして、それが繰り返されると、フレームが強化され、「年金が危ないのは当たり前」と思い込んでしまいます。(実際に年金は危ないかもしれませんが)
また、「SEOに被リンクは良くない」というのも多くの人がフレーミングされている間違った理解といえるでしょう。
これは、サイトと関係の無いサイトからインチキにリンクを大量に増やすことがペナルティであって、SEO対策には間違いなく被リンク・リンクは有効です。
「SEOに被リンクは良くない」という情報だけを継続的に耳に入れることで知らないうちに「被リンク自体がSEOに良くない」とフレーミングされてしまったケースです。
営業現場で活用するフレーミング
では、フレーミングとは何かがざっくり分かったとろこで、どうやってこのフレーミングを実際の営業現場で使っていくのでしょうか。
例えば自動車営業を例にしてみましょう。
普通の営業マンZさんの売り方
・この自動車いかがですか。
・◯月に発売された最新のモデルで、
・燃費もハイブリットなのでキロ25リッターは走ります。
・カーナビも標準装備。
・カラーも5種類から選べます。
・今なら自動車ローンの金利も半分です。
よくありそうですね。
フレーミング技術をマスターしている営業マンSさんはこう売ります。
・そもそも、自動車の選び方にはコツがあります。
・費用、機能、デザイン、ブランドの中で何を優先するかです。
・そして特に見通しがちなのはトータルコストです。
・自動車の購入費に加えて、毎日のガソリン代、メンテナンスの費用等かかります。
・特にガソリン代はバカになりません。燃費がリッター5キロ異なると、10万キロで◯◯万円のコストの違いになります。
・だから、自動車はトータルコストを考えて選ぶのが大事です。
ん?これって営業しているのかって?
はい、優秀な営業マンのSさんは、Zさんのように直接的に売り込みをするのではなく、自動車の選び方をお客様に伝えているのです。実はSさんは、燃費の良いことが一番の特徴の自動車を販売したく、売り込む代わりに自動車選びを決める思考フレーム(枠)をお客様に植え付けようとしているのです。これがフレーミングです。
もし、Sさんの「自動車の選び方」に納得したお客様であれば、放っておいても勝手に調べて燃費が良いSさんのメーカーの自動車を選ぶでしょう。
「商品を売り込むのではなく、商品の選び方に共感してもらう」
これがフレーミングの実践的な活用方法です。
売り込みに対してお客様はダマされないように自己防衛として警戒します。しかし、自動車の選び方をお伝えすることに対してはその警戒心は薄れるので話を聞いてもらいやすくなります。
フレーミングを使った営業とは
まとめると、
<普通の営業>
①営業担当が商品のPR・売り込み
②お客様が自分で商品の選び方を学習
③お客様の得た情報や価値観で商品を選んで購入
<フレーミングを活用した営業>
①営業担当が商品の選び方を教える
②営業担当の商品の選び方に共感
③選び方に従った商品購入
フレーミングを活用した営業は安定した結果を残します。
自社の商品ではどういったフレーミングができるか、考えてみましょう。